INFORMATION TITLE【骨盤内炎症性疾患(PID)とは? 原因や症状、治療法は?不妊との関係は?】

【骨盤内炎症性疾患(PID)】という病気をご存じですか?

あまり馴染みがないかもしれませんが、
女性なら誰しも発症する可能性があり、不妊症を引き起こすこともあります。

今回は、骨盤内炎症性疾患(PID)の原因や症状、治療法についてご説明します。

【骨盤内炎症性疾患(PID)とは】

骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)は、
子宮や卵巣、卵管、骨盤腹膜など、子宮頸管より上にある
生殖器や臓器で起こる感染症の総称です。

骨盤内の感染症は様々な部位に併発することが多く、
特定の場所だけを診断することが難しいので、
PIDという総称で呼ばれるのが一般的です。

【骨盤内炎症性疾患(PID)の原因は?】

骨盤内炎症性疾患(PID)の主な原因は、
性感染症を引き起こすクラミジアや淋菌です。

性交渉によってこれらの病原体が腟や子宮頸管に感染し、
それが子宮内膜や卵管、卵巣など上に向かって広がっていくことで発症します。
そのほか、大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌といった細菌が原因になることもあります。

本来、腟内には自浄作用がありますが、免疫力が低下していたりすると、
腟内環境が乱れ、菌が繁殖しやすい状態になってしまうのです。

また、虫垂炎や結核性腹膜炎などを発症した後に炎症が下に向かって広がるケースや、
子宮内避妊器具を長期間入れたままにしておくことでPIDを発症するケースもあります。

【骨盤内炎症性疾患(PID)の症状は?】

骨盤内炎症性疾患(PID)は、
子宮内膜炎や子宮筋層炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎などを含み、
強い下腹部痛や発熱、おりものの増加や悪臭、不正出血などが見られます。
これらに心当たりがあれば、すぐ婦人科を受診するようにしてください。

炎症の程度や部位によっては、自覚症状だけでPIDと確定できないことも多くあります。
そのため病院では、触診や内診に加えて、体温や白血球の数なども見ながら診断が行われます。

【骨盤内炎症性疾患(PID)の治療法は?】

まず、検査によって骨盤内炎症性疾患(PID)の原因となっている病原体を突き止め、
その細菌やウイルス、原虫などに合わせた飲み薬や注射剤を投与します。

症状が比較的軽く、薬の効果が十分に発揮されれば、
5~7日間ほど薬の投与を続けることで症状が改善されます。
ただし、再感染を防ぐため、PIDが完治したと医師が判断するまでは性交渉を控えましょう。

もし、炎症が腹膜まで広がり、膿(うみ)を持った腫瘤ができてしまった場合には、
抗菌剤が効かないことがよくあるので、
膿を体外に抜き出すドレナージなどの手術を行います。

【骨盤内炎症性疾患(PID)で不妊症になる?】

骨盤内炎症性疾患(PID)は、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)
などの後遺症を残す恐れがあります。
そのため、できるだけ早く発見し、治療を行うことが肝心です。

たとえば、卵巣の炎症が排卵を妨げるほか、
卵管が膿や癒着で塞がってしまうと、
卵子と精子の受精や、受精卵の運搬に支障をきたし、
妊娠しにくくなる可能性があります。
また、子宮内膜の炎症が重症化すると、受精卵の着床が難しくなる恐れがあります。

PIDを治療せずに放置しておくと、どんどん炎症が広がり、
不妊治療をしないと妊娠できなくなる可能性もあります。
妊娠を希望している女性は特に、下腹部痛などの症状に十分気をつけ、
少しでも不安があるときは婦人科で診てもらいましょう。

【骨盤内炎症性疾患(PID)を予防するには?】

骨盤内炎症性疾患(PID)の原因は様々ですが、腟が細菌などに感染し、
そこから子宮や周辺の器官に炎症が広がっていくことが多いので、
デリケートゾーンを常に清潔に保つことが予防につながります。

生理用ナプキンを長時間つけたままにせず、
こまめに取り替える、締めつけの少ない、通気性の良い下着を身につける、
といったことを心がけましょう。

また、クラミジアや淋菌は性交渉を通じて感染するので、
コンドームなどの避妊具をきちんと使うことが大切です。
妊娠を望んでいる場合は、妊活を始める前に性感染症の検査を受けておくと安心です。

【骨盤内炎症性疾患(PID)は早期治療が大切】

骨盤内炎症性疾患(PID)は、不妊につながるリスクがあるので、
妊娠を考えている女性は特に注意したい病気です。

生理用品や避妊具を適切に使い、普段から予防に努めるのはもちろんのこと、
下腹部痛やおりものなど少しでも違和感があれば、
できるだけ早く婦人科を受診してください。

もしPIDと診断されたら、
発症する前に性交渉があったパートナーにも泌尿器科などで検査を受けてもらい、
お互いにうつしあうことのないように2人でしっかり治療しましょう。

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